第87回「人権教室と黒人選手」の巻

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夜の静けさの中でラジオのチューニングを合わせるとき、僕たちは時々、自分の中にある古いOSのようなものに思いをはせることがある。
小学3年生の息子の授業参観に出かけた。教室で行われていたのは人権教育の授業だった。そこに登場する多様なバックグラウンドを持つ人々の姿を見ていると、現代という時代がいかに急速にアップデートされているかに感心させられる。僕が小学3年生だった30年近く前、人権という言葉のなかに「外国人」という色彩はほとんど含まれていなかったはずだ。時代は静かに、けれど確実に姿を変えている。
けれど、話がアジア大会のニュースに及ぶと、僕たちの頭の中にある古いレコードが針飛びを起こす。日本や中国、韓国の代表ユニフォームを着た黒人選手を目にしたとき、僕たちの心の中には「ずるくね?」という素朴で、そして少しばかり恥ずかしい疑問が浮かんでしまうのだ。
もちろん、それが僕たちのリテラシーの低さや、平成1桁という時代の残像にすぎないことは分かっている。世界は僕たちが思っているよりもずっと複雑で、そして軽やかに混ざり合っているのだから。そんな、僕たちのアップデートしきれていない意識と、変わりゆく世界との間にある心地よいズレについて、少しだけ話をしてみたいと思う。

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