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南米沖の海が、いま過去最大の熱さになっています。ところが、この海が熱くなる「エルニーニョ現象」の年、日本の夏はむしろ涼しくなりやすいのです。1万5000キロ離れた海が、なぜ日本の天気を変えるのか。太平洋を「細長いお風呂」にたとえて、二人の掛け合いでひもときます。
▼この動画で分かること
・気象庁の発表(2026年10月9日):9月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より+4.0℃。1949年以降の最高だった1997年12月の+3.6℃を超え、過去最大の強さに
・太平洋の西(インドネシア)の海面は東(南米エクアドル)より約50センチ高く、海面水温は約8℃高い(アメリカ海洋大気庁)。いつも吹く東風(貿易風)が、温かい水を西へ寄せている
・1904年にインドの気象台のトップとなったギルバート・ウォーカーが気圧の「シーソー」を見つけ、1969年にヤコブ・ビヤークネスが、それを南米沖の暖かい海と結びつけた
・1973年6月、アメリカが大豆の輸出を規制。ペルー沖のカタクチイワシの不漁で魚粉が足りなくなったことも背景の一つで、大豆の9割以上を輸入していた日本に「大豆ショック」
・フィリピン付近で雲が多い夏は、日本の上で太平洋高気圧が強まる(新田勍、1987年の論文)。エルニーニョの夏、西日本の気温が「低い」になったのは60%(気象庁、1948〜2021年)
・それでも2026年の夏は、1898年以降で5番目の暑さ(基準値より+1.02℃)。気象庁の冬の予報(9月18日)は、東日本・西日本で気温「高い」の確率60%
▼チャプター
0:00 なぜ南米沖の海の温度で、日本の夏が変わるのか
1:47 南米沖の海は、なぜ急に熱くなるのか?
8:26 地球の反対側の海が、どうやって日本に届くのか?
15:36 過去最大のエルニーニョで、この先どうなるのか?
22:35 答え
▼注記
・図の多くは、この動画のために描いた模式図です。太平洋の断面(お風呂の図)は温かい層の厚さや海面の傾きを大げさに描き、地図の海岸線や位置はおおよそです。「昔のふつうの夏・いまのふつうの夏・いまのエルニーニョの夏」の棒グラフは、考え方を示す模式図です。
・この動画で計算した値:ペルー(リマ)から東京まで約1万5000キロ(大円距離)/赤道沿いの南米〜インドネシア 1万5000キロ以上/1949〜2024年のエルニーニョ19回・約4年に1度(気象庁の表を数えた)/1997年12月の記録を0.4℃上回った(4.0−3.6)/2026年の夏は2025年より約1.3℃低い(2.36−1.02)/カタクチイワシの漁獲が1970年→1972年で約3分の1(1,240万トン→440万トン。解説記事に引用された数字から計算)
・気象庁の「低い・並・高い」の統計は、気温の長期的な上昇の影響を除いて計算されています。エルニーニョの年でも、必ず冷夏になるわけではありません。
・温暖化でエルニーニョが強くなるかどうかは、研究者の間で意見が分かれており、決着していません。強いエルニーニョが増えるとする研究(2014年)と、強さの変化は確信度が低いとするIPCC(2021年)の両方を紹介しました。
・1993年の冷夏はエルニーニョだけが原因ではありません(オホーツク海高気圧など)。1972年の不漁には獲りすぎも、1973年の大豆ショックにはアメリカの物価高・天候・ソ連の買い付けなども重なっていたとされます。
・季節予報は3か月平均の確率です。暖冬の予報でも、寒い日や雪の多い日がないという意味ではありません。最新の予報は気象庁の発表をご確認ください。
▼主な出典
【論文・報告書】
Bjerknes, J.(1969)Atmospheric Teleconnections from the Equatorial Pacific, Monthly Weather Review 97
Nitta, T.(1987)Convective activities in the tropical western Pacific and their impact on the Northern Hemisphere summer circulation, Journal of the Meteorological Society of Japan 65
Cai, W. ほか(2014)Increasing frequency of extreme El Niño events due to greenhouse warming, Nature Climate Change 4
IPCC(2021)第6次評価報告書 第1作業部会報告書(自然科学的根拠)
【公的機関・国際機関】
気象庁「エルニーニョ監視速報(No.409)」(2026年10月9日)
気象庁「エルニーニョ現象が発生しているとみられます」(2026年6月10日)
気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象に関する知識」(現象の説明、日本の天候に影響を及ぼすメカニズム、発生時の日本の天候の特徴、発生期間の表)
気象庁「日本の夏(6〜8月)平均気温」
気象庁「夏(6〜8月)の天候」(2026年9月1日)
気象庁「2026年7月中旬~下旬の顕著な高温と今後の見通しについて」(2026年8月3日)
気象庁「寒候期予報」(2026年9月18日発表)
気象庁「令和5年度 異常気象分析検討会(第1回)議事概要」(2023年9月4日)
気象庁 仙台管区気象台「平成5年(1993年)夏の低温と日照不足」
NOAA PMEL “What is an El Niño?”
WMO “El Niño/La Niña Update (August 2026)”
WMO “WMO confirms 2024 as warmest year on record”(2025年1月10日)
JICA研究所「農業大国に変貌したブラジル、その陰に日本の協力あり」(2011年2月8日)
【解説・報道】
丸紅経済研究所「1973年大豆ショック:背景は今日の状況に酷似」(2026年6月30日)
IRI(コロンビア大学)”Walker: Identifying the Southern Oscillation”
内山常雄「東北地方の冷害と日本周辺海面水温との関係」(日本気象学会 大会予稿)
Wikipedia英語版 “1972 Peruvian anchoveta crisis”(漁獲量は Brundenius 1973、Keith 1974〔NOAA〕の引用)
WIRED日本版「スーパー・エルニーニョ、2027年2月まで続く可能性──世界気象機関が予測」(2026年9月9日)
WIRED日本版「エルニーニョ現象とは? 世界の気温から水資源、経済にまで及ぶ影響を解説」(2026年8月16日)
▼クレジット
BGM:実験 / なつこらーじゅ
ナレーション:音声合成(二人の声)
地図・図解:この動画のために描いた模式図(地図データ・写真は使っていません)
#エルニーニョ #異常気象 #教養
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