パレスチナ:「ガザ地区の治安部隊」は本当にできるのか?

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 去る10月に「ガザ地区での停戦合意」が仰々しく発表されたものの、その実態は一部で「ニセ停戦」と評されるものだ。イスラエルによる破壊と殺戮は連日続いているし、ガザ地区だけでなくヨルダン川西岸地域でもパレスチナ人民の苦境は一向に改善されていない。そんな中、「停戦」が次の段階に進むことが極めて難しい(おそらく無理であろう)ことを示すできごとが発生した。イスラエルが「ハマース殲滅後のガザ地区の治安管理」を任せようとしていたとされる民兵を率いていた、ヤーシル・アブー・シャバーブ司令官がガザ地区南部のイスラエル軍の占拠地域でベドウィンの部族の一つとの戦闘で死亡してしまったのだ。本件を報じる5日付『クドゥス・アラビー』紙(在外のパレスチナ資本の汎アラブ紙)によると、同司令官を殺害したアブー・スナイマ部族の者たちはその行為がパレスチナの抵抗運動の一環をなすものと自覚していたようだが、抵抗運動諸派のいずれかが攻撃を仕掛けたというわけではなさそうだ。実際、ハマースをはじめとする諸派は、アブー・シャバーブ司令官が殺害されたことを裏切り者の末路と冷ややかに論評する声明を発表したが、殺害を自らの戦果と誇ることはなかった。一方、ハマース(または抵抗運動諸派)の傘下なり連合なりと思われる「抵抗運動の治安機関」の幹部は、ガザ地区の名望家・部族が占領者(=イスラエル)に協力した者への社会的庇護を解除したと指摘し、アブー・アシャバーブの下でイスラエルに協力する民兵に参加している者たちに対し、12月5日から10日以内に「悔悟」しなければアブー・シャバーブと同様の末路をたどると警告した。

 ヤーシル・アブー・シャバーブは、少し前からガザ地区の情勢についての報道でイスラエルの手先の民兵を率いる人物として度々名前が挙がっていた。イスラエル軍は、同人が率いる民兵に、ハマースなどに対抗させたり、「停戦」後のガザ地区の治安を管理させたりしようとしていたようだ。同人は、アブー・シャバーブ部族の指導者のなかの著名人で、イスラエルの支援を受けて数百人の戦闘員を集めていたようだ。アブー・シャバーブ部族も400人ほどの戦闘員を擁するそうだが、部族を挙げてイスラエル配下の民兵を支持しているわけではなさそうだ。アブー・シャバーブの民兵は、ガザ地区に搬入される物資の横領や、物資を求めるパレスチナ人民への銃撃などでよく名前が挙がったし、アブー・シャバーブ自身も2023年10月からのイスラエルによるガザ地区攻撃に乗じて脱獄するまでは、麻薬犯として収監されていたそうだ。となると、同人やその民兵が「まともに」働いたとしても、それが実現する「治安」はイスラエルの安全であり、パレスチナ人民のための治安ではないということだ。

 このような民兵を育成して「治安」維持にあたらせる構想には、イスラエル軍からも反対の声があったそうだ。というのも、イスラエル軍自身が、1982年のレバノン侵攻後、2000年のレバノンの占領地の大部分からの撤退までの間、「南レバノン軍」という民兵を組織し、レバノンの占領地を管理させようとして失敗した経験があるからだ。実は、イスラエル軍は2000年の撤退の際、撤退地域を「南レバノン軍」に任せ、ヒズブッラーを中心とする抵抗運動との対決の矢面に立たせようとしたのだが、当の「南レバノン軍」はイスラエル軍からの庇護が期待できないと悟ったとたん雪崩を打って逃亡し、組織が崩壊してしまった。ガザ地区での民兵育成に対するイスラエル軍からの反対論は、イスラエルがちゃんと庇護しないと(つまり、占領地の管理のためにイスラエルが費やす資源と労力は減らない)、「治安」維持のための民兵は機能しないという経験に基づく。

 もう一つ指摘しておくべきことは、部族のような地縁・血縁集団を、単独、または連合体として起用しても、ハマースのような現代的な組織を制圧することはまず期待できないということだ。だからこそ、ガザ地区の諸部族はハマースと敵対するものも含め、そんな役割を担わされることに当初から決して色よい返事をしてこなかった。上記の通り、アブー・シャバーブが率いていた民兵の規模はせいぜい数百人だ。これは、たとえイスラエルの庇護を受けていても、同人が個人の人間関係や、出身部族の地縁・血縁に沿った動員に基づいてもこの程度の規模しか構成員を集められなかったということだ。一方、ハマースは2023年10月の時点で3万人の戦闘員を擁するとされていたし、同派よりずっと小規模なパレスチナ・イスラーム聖戦(PIJ)も1万人以上の戦闘員を擁すると信じられていた。兵站部門、政治部門、社会活動部門なども考えると、ハマースなどの諸派の構成員はさらに多かっただろうし、現在でも数百人規模ということはないだろう。もちろん、パレスチナの抵抗運動諸派の

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