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高市早苗氏の経済安全保障に関する主張
高市早苗氏は、これまでの政治活動の中で「経済安全保障」を国家の独立と国民生活を守るための最重要課題の一つとして位置づけてきた。彼女の発言や政策提案を振り返ると、その基本的な考え方は、経済分野を単なる成長や効率化の対象として捉えるのではなく、外交・防衛と並ぶ安全保障の柱として戦略的に扱うべきだという点にある。特に、先端技術の確保、重要物資の安定供給、重要インフラの強靭化、そして機微な技術や情報の保護といった領域が、日本の脆弱性を克服するために欠かせないと強調している。
こうした考え方を背景に、高市氏は外国からの投資に対する管理を厳格化する必要性を訴えてきた。戦略的に重要な企業や技術が外国資本に取り込まれることは、日本の安全保障上のリスクになり得るためだ。総裁選での公約においては「対日外国投資委員会」の設置を打ち出し、経済安全保障法制の中で、外国投資や資本提携を国が事前に審査・制限できる仕組みを整えるべきだと主張している。これは従来の外為法の枠組みを超え、国家の意志として外国資本に対処する体制を築こうとする姿勢を示すものだ。
さらに高市氏は、日本が諸外国に比べてスパイ活動への備えが脆弱であると繰り返し指摘している。とりわけ「スパイ防止法」の制定を自らの公約に掲げ、機微な情報が国外に流出することを防ぐための法的基盤が不可欠であると訴えてきた。あわせて、国家情報局を新設し、情報収集や分析を一元的に行う体制を構築する必要性も示している。彼女にとって、情報保全は経済安全保障の中核であり、法整備と制度改革の両面から進めなければならない課題である。
一方で、外国製品に関して「排除すべきだ」と直接的に述べた発言は確認されていない。ただし、高市氏は外国依存のリスクについては繰り返し言及している。特に半導体、エネルギー、通信インフラといった分野で特定国への過度な依存は安全保障上の大きな脅威になると警鐘を鳴らしており、その対応策として国産化の推進や同盟国とのサプライチェーン強化を強調している。彼女の姿勢は「排除」ではなく「依存度の低減」と「安全性確保」であり、外国製品そのものを敵視するというよりは、日本の自立性を高めるための国内基盤づくりに重点を置いていると言える。
加えて、高市氏は経済安全保障を単なる防御的な政策にとどめるのではなく、積極的な産業戦略の一環としても位置づけている。半導体や次世代炉など、国家の未来を支える成長分野への大胆な投資を訴え、官民が連携して研究開発や重要物資の確保を進める体制を整備すべきだと主張している。これは、単にリスクを回避するだけでなく、日本が国際競争力を保持し、経済的に自立した形で安全保障を実現するという積極的なビジョンでもある。
総じて、高市早苗氏の経済安全保障論は、外国投資の管理強化、スパイ防止法の制定、国家情報局の設置、外国依存の是正、成長分野への国家的支援といった政策に集約される。彼女の立場は、外国製品を無条件に排除するものではなく、国家としての安全性を確保するために依存度を下げ、自立性を高める方向性を持つ。つまり「守り」と「攻め」を両立させる経済戦略としての安全保障観を示しているのである。
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