量子飛躍の正体とは?電子はなぜ「間」を通らずに別の状態へ移れるのか|量子力学|シュレーディンガー

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物理学の歴史には、決着までに90年以上かかった一番の取組があります。1926年の秋、コペンハーゲンのボーアの家で熱を出して寝込んだシュレーディンガーと、その枕元を離れずに議論を続けたボーア。原子の中の電子は、途中を通らずに一瞬で飛び移るのか。それとも波として、なめらかに移り変わるのか。水銀の蒸気の中で4.9ボルトごとに電流が落ちたフランクとヘルツの実験、太陽の光の黒い線から見つかったヘリウム、ボルンが論文の脚注に書き足した確率の考えを一つずつ土俵に上げながら、移り変わりの途中にある原子が1秒に2466兆回揺れて光を生む姿まで、両陣営の言い分を確かめていきます。後半の主役は、「1個の原子で実験することなどない」と書いた晩年のシュレーディンガーへの答えです。1986年に真空の檻の中で光っては消えた1個のバリウムのイオン、見張れば見張るほど移らなくなる量子ゼノン効果、そして2019年にイェール大学で飛躍を途中で引き戻した実験。コペンハーゲンにいた仁科芳雄、タウンズのもとでメーザーに取り組んだ霜田光一、沖縄で進むイオントラップの量子コンピューターも顔を出します。行司の軍配がどちらに上がったのか、最後の一番まで見届けていただけたら嬉しいです。

0:00 1926年秋、熱を出したシュレーディンガーの枕元で
02:12 飛躍派と連続派:ボーアの研究所で始まった一番
06:36 4.9ボルトの謎:フランクとヘルツ、そして駅の自動改札
11:02 「間」は場所なのか:渋谷の大型ビジョンで考える
15:02 地球より先に太陽で見つかった元素:黒い線とヘリウム
19:53 波は確率だった:ボルンの脚注と、京都に来たハイゼンベルク
24:17 移り変わりの途中の原子は、1秒に2466兆回揺れている
28:53 どれだけ時間がかかるのか:餅つきのリズムと霜田光一のメーザー
33:15 誰も押していないのに光る:自然放出と線の幅
37:35 「動物園で魚竜は飼えない」:シュレーディンガーの挑戦とデーメルトの檻
42:17 1986年、光っては消える1個の原子:檻の中のホタル
46:42 予想の答え:見張るほど移らない、だるまさんがころんだ
51:02 2019年、飛躍を途中で引き戻す:ししおどしと行司の判定
56:31 1個の原子を読む技術:量子コンピューターと沖縄のバリウム
1:00:26 まだ残る問い:なぜ答えはいつも一つに決まるのか

見始める前のあなたは、ボーアとシュレーディンガーのどちらに軍配を上げていたでしょうか。見終えた今、その判定が変わったかどうかと、この動画を見終えた町と時刻を、ひとことコメントで残してもらえると励みになります。【眠れる銀河】では、こうした目に見えない「途中」の物理を、これからも一番ずつ追いかけていきます。次の取組も見届けたい方は、チャンネル登録をしておいてください。

【参考文献・資料】
・ハイゼンベルク『部分と全体』より、1926年コペンハーゲンでのボーアとシュレーディンガーの議論:
・理化学研究所「仁科芳雄」(コペンハーゲン留学と1929年のハイゼンベルク、ディラック来日):
・フランク=ヘルツの実験(1914年、4.9ボルト、254ナノメートルの紫外線):
・フラウンホーファー線とキルヒホフ、ブンゼンの分光分析:
・Smithsonian Magazine「How Scientists Discovered Helium, the First Alien Element」(1868年の日食):
・日本物理学会誌 霜田光一先生追悼(1954年コロンビア大学でのメーザー研究):
・Schrödinger「Are There Quantum Jumps? Part II」The British Journal for the Philosophy of Science 3(1952年):
・University of Washington「Trapping the Ion」(デーメルトのイオントラップ):
・Nagourney, Sandberg, Dehmelt「Shelved optical electron amplifier: Observation of quantum jumps」PRL 56, 2797(1986年):
・Itano, Bergquist, Hulet, Wineland「The Observation of Quantum Jumps in Hg+」(NIST):
・バリウムイオンの準安定状態の寿命の測定:
・Itano, Heinzen, Bollinger, Wineland「Quantum Zeno effect」Phys. Rev. A 41, 2295(1990年):
・Minev et al.「To catch and reverse a quantum jump mid-flight」Nature 570, 200(2019年):
・Yale News「Physicists can predict the jumps of Schrödinger’s cat (and finally save it)」(2019年):
・JST ムーンショット目標6 高橋優樹(沖縄科学技術大学院大学)イオントラップ量子コンピュータ(2026年):

VOICEVOX:青山龍星

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