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もし明日の朝、世界から「お金」という概念が消えたら、私たちは自由になれるのでしょうか。
この動画では、現金だけでなく、銀行預金、給料、値札、ローン、家賃など、お金によって表されていた数字がすべて意味を失う世界を想定しています。
最初は喜ぶ人もいるでしょう。借金は消え、家賃も請求されず、商品にも値段がなくなる。しかし、ここで重要なのは「お金が消えても、物そのものは増えない」ということです。
食料、薬、住宅、電気、燃料、土地には限りがあります。全員が欲しいだけ受け取れば、すぐに不足する物も出てきます。すると社会には、価格とは別の方法で「誰に、何を、どれだけ渡すのか」を決める仕組みが必要になります。
そもそもお金には、交換を助けるだけでなく、物の価値を比較する共通の単位になり、価値を将来へ保存する役割があります。イングランド銀行も、お金の主な機能として交換・価値保存・価格を示す共通基準を説明しています。
お金が突然なくなれば、スーパーや通販だけでなく、物流、生産、輸入、雇用の仕組みまで止まる可能性があります。農家が無償で野菜を作っても、燃料を誰が提供し、誰が運び、誰が倉庫を管理するのかという問題が残るからです。
短期間なら、使命感や助け合いで社会を動かせるかもしれません。しかし、危険でつらい仕事や、長期間の訓練が必要な仕事まで、善意だけで安定して維持できるとは限りません。
そこで登場すると考えられるのが、配給、抽選、行列、必要性による優先、労働時間によるポイントなどです。
ところが「働いた人にポイントを与え、そのポイントで多く受け取れる」という制度を作れば、そのポイントは事実上のお金になります。物々交換が広がっても、交換しやすい食料や燃料、薬、労働券などが、やがて通貨のように扱われる可能性があります。
さらに怖いのは、お金の代わりに人脈や権力、評判が価値を持つ世界です。
「あの人と知り合いだから食料を多く受け取れる」
「社会への貢献度が低いから配給を減らされる」
「信用スコアが低いから良い住宅には入れない」
こうなれば、預金額の格差はなくなっても、権力や情報による格差はむしろ見えにくくなるかもしれません。
一方で、共同管理が必ず失敗するとは限りません。ノーベル経済学賞を受賞したエリノア・オストロムの研究は、地域の人々が明確なルールや監視、合意形成を行うことで、森林や漁場などの共有資源を持続的に管理できる場合があることを示しました。
つまり、お金のない社会が成立する可能性はゼロではありません。ただし、それには十分な資源、高度な自動化、透明な分配ルール、権力の監視、そして人々の強い信頼が必要になります。
結局、お金とは単なる紙や数字ではありません。
限られた物を交換し、価値を比較し、将来のために保存するために、人類が作った仕組みです。紙幣を廃止しても、物が不足し、人によって欲しい物が違う限り、「価値を表す何か」は再び生まれるでしょう。
それはコインではなく、労働ポイントかもしれない。
信用スコアかもしれない。
人脈や権力かもしれない。
世界からお金が消えた日、本当に消えるのは格差なのでしょうか。それとも、格差が別の姿に変わるだけなのでしょうか。
あなたは、お金のない世界に住みたいですか?
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