気温が上がると暴力犯罪が増える 米国2,997郡・30年のパネル分析 #Shorts

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「暑いと荒れる」という話は昔からありますが、過去の研究は年単位・地域単位の粗いデータが多く、因果と言い切れませんでした。
この研究は、米国2,997郡の30年分(1980〜2009年)の月次犯罪データと日次の気象データを突き合わせています。観測数は郡×年×月で89万1,000件。郡×年・州×月の固定効果を置くことで、地域差と季節を統計的に取り除きました。
結果、気温は犯罪に強い正の効果を持ち、遅れて効く証拠はほとんどありませんでした。効き方は犯罪の種類で違います。暴力犯罪は寒い日より暑い日のほうが多く、米国本土で経験する温度域のほぼ全域にわたって気温が上がるほど増え続けます。一方、財産犯罪(侵入盗・窃盗など)は約10°C(50°F)までで増えたあと非線形になり、それより上では気温が変わってもほとんど動きません。
この関係をもとに将来を推計したのが次の数字です。比べているのは「時点の前後」ではなく、同じ2010〜2099年の90年間について「気候変動が起きなかった場合」との差です。その差は、殺人が2万2,000件、加重暴行が120万件、単純暴行が230万件、強盗が26万件など。2090年時点で、多くの犯罪類型の発生率が1.5〜5.5%高くなる計算になります。

▼注意点(必読)
・将来の件数は「推計」です。IPCCのA1Bシナリオと15の気候モデルを前提にした値で、前提が変われば数字も変わります。実測されたのは過去30年の気温と犯罪の関係までです。
・気温と犯罪の関連の頑健性については、別の分析から異論も出ています。決着した話ではありません。
・対象は米国です。刑事司法制度も気候も異なる日本にそのまま当てはまるとは限りません。
・犯罪統計はFBIのUCRデータで、報告のばらつきという既知の弱点があります。この研究は年内の月ごとの変動を見ることでその影響を抑えていますが、完全に消えるわけではありません。

▼出典
Ranson M (2014) “Crime, weather, and climate change”
Journal of Environmental Economics and Management 67(3): 274-302

音声:VOICEVOX:青山龍星
BGM:甘茶の音楽工房()

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