トランプのホルムズ海峡“領有論” 許せば日本の安全保障は崩れる

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トランプのホルムズ海峡“領有論”許せば日本の安全保障は崩れる

1 ホルムズ海峡は「国際海峡」──領有論そのものが国際法と衝突する
ホルムズ海峡は、イランとオマーンに挟まれた国際海峡であり、
国連海洋法条約(UNCLOS)により「通過通航権」が保障されている。

したがって、
米国が「米国のもの」と主張することも、
イランが「イランのもの」と主張することも、
国際法の枠組みとは整合しない。

しかし、トランプのように領有論を政治的に口にすること自体が、
国際海峡制度の根幹を揺るがす危険な前例となる。

2 トランプ発言が危険なのは「他国の海峡にも波及する」から
ホルムズ海峡を米国のものとする論理は、
他国の海峡にもそのまま転用され得る。

ロシアが「対馬海峡はロシアのもの」と言い出す

中国が「台湾海峡は中国の内水」と主張を強化する

トルコがボスポラス海峡の通航権を制限する

英国がドーバー海峡の管理権を拡大する

こうした“領有論の連鎖反応”は、
世界の海上交通を不安定化させ、
日本のエネルギー輸入の生命線を直撃する。

3 日本の安全保障が崩れる理由
日本の原油輸入の約8割はホルムズ海峡を通過する。
この海峡が「特定国の領有物」とみなされれば、
日本は以下の三つの危機に直面する。

■ ① エネルギー安全保障の崩壊
領有国の政治判断ひとつで、
日本の原油供給が止まる可能性が生まれる。

■ ② 国際海峡制度の弱体化
津軽海峡・宗谷海峡など、日本自身が依存する海峡の法的安定性が揺らぐ。
特に津軽海峡は領海3海里の特例構造であり、
国際海峡制度が崩れれば日本の防衛計画に深刻な影響を与える。

■ ③ ロシア・中国の海洋主張を正当化する材料になる
領有論が認められれば、
ロシアや中国が自国の海峡・海域で同様の主張を強める口実となる。

4 イランの反発は「専守防衛的」構造を持つ
イラン側が「ホルムズ海峡はイランのもの」と反発した背景には、
有事における防衛措置の正当化という側面がある。

これは、
日本がロシアによる侵攻時に津軽海峡を封鎖し、
不審船を警告・撃沈する可能性を
「専守防衛の範囲」と説明できる構造と似ている。

そのため日本は、
イランの主張を全面否定すると、
自国の防衛オプションを自ら縛ることになる。

5 日本が取るべき外交・安全保障の方向性
トランプの領有論を許せば、日本の安全保障は構造的に弱体化する。
必要なのは、感情ではなく冷静な戦略である。

■ ① 国際海峡制度の堅持
日本は国際海洋法の原則を強く支持し、
領有論の拡散を防ぐ立場を明確にする必要がある。

■ ② 中東諸国との外交強化
イラン・サウジ・UAEなど、
ホルムズ海峡周辺国との信頼関係を強化し、
海峡の安定的管理を支援する。

■ ③ 米国に対する「原則外交」
同盟国であっても、
国際法に反する主張には明確に距離を置く。
これは反米ではなく、
日本の国益を守るための原則的対応である。

■ ④ 日本自身の海峡防衛の再点検
津軽海峡・宗谷海峡など、
日本の海峡政策が国際海峡制度と連動していることを踏まえ、
防衛計画を再整理する。

6 総括
ホルムズ海峡の領有論は、
単なる発言ではなく、
国際海峡制度を揺るがす危険な前例である。

これを許せば、
日本のエネルギー安全保障、
海峡防衛、
国際法秩序の三つが同時に崩れる。

日本は、
国際法の原則を軸にした冷静な外交と、
自国の海峡防衛を両立させることで、
この危機を乗り越える必要がある。

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