各国が、アメリカのトランプ次期大統領を軸にした動きを進めています。ロシアは、プーチン大統領がトランプ氏と電話会談したという報道を強い言葉で非難。韓国の大統領は、8年ぶりにゴルフクラブを握ったと報じられています。背景には何があるのでしょうか?
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今回の#みんなのギモン では、「トランプ×プーチン会談 作り話?」をテーマに解説します。
■露側「接触の具体的な計画はない」
近野宏明・日本テレビ解説委員
「アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利してから1週間近く経ちました。就任するまでには2か月以上あるのですが、既に世界ではトランプ氏を軸にした動きが始まっています」
「アメリカのワシントンポストは『トランプ次期大統領が7日(勝利宣言の翌日)、選挙の勝利後初めてロシアのプーチン大統領と電話会談をした』と、日本時間の11日に報じました」
「しかしロシア政府はこの報道を即座に否定。電話会談は『全くの作り話だ』という強い言葉まで使って非難しました」
鈴江奈々アナウンサー
「このニュースを聞いた時に、『どういうこと?』と混乱しました。アメリカ側の情報筋がロシア側か、どちらかがウソになるわけですよね。どっちが本当なんでしょう?」
近野解説委員
「ワシントンポストは権威あるメディアですから、裏付け取材は相当深くやっての記事だということは疑うこともないとは思いますが、ロシアのタス通信などによると、ロシア政府側で会談を否定したのは大統領府のペスコフ報道官です」
「『電話会談はなかった』としただけではなく、『現時点でプーチン大統領がトランプ氏と接触する具体的な計画はない』とも述べたそうです」
鈴江アナウンサー
「ロシア側がここまで強く否定するのも、何か意図があるのでしょうか?」
近野解説委員
「ここまで言う理由が何か、いろいろ気になりますよね。『全くの作り話』とまで言うなら、どういうことが考えられるのか。8年前の2016年にトランプ氏が初めて大統領に当選した直後の2人のやり取りを調べたところ、そのヒントが見えてきました」
■2016年、トランプ氏の初当選時は?
近野解説委員
「当時の選挙は11月8日に行われました。プーチン大統領はその翌日の9日、トランプ氏に祝電を送りました。その内容を見ると、両国関係のあり方について『平等で互いの立場を尊重し、考慮することを基礎にした対話作り』と書かれています」
「さらに選挙6日後の14日、プーチン大統領とトランプ氏の電話会談が行われたとロシア側が発表し、中身にも触れています。改めて祝意を述べたことのほか『平等・相互の尊敬・内政不干渉の原則に基づいたトランプ新政権との対話に意欲を示した』というものです」
斎藤佑樹キャスター
「同じような内容を念押しで伝えているように見えますね」
近野解説委員
「『互いの立場を尊重』『平等』『内政不干渉の原則』などですね。(9日と14日の)2つの発表に共通して、こちらに口出ししないでほしい、というロシア側の意図がうかがえますよね」
「そもそも同盟国や友好国ではないので当然といえば当然ですが、アメリカから口出しされることをかなり警戒しています」
■ワシントンポストが報じた内容は?
近野解説委員
「翻って今回ワシントンポストで報じられた内容を振り返ると、トランプ氏はウクライナ侵攻を激化させないよう忠告したといいます。これはロシアにとって目下最大のテーマで、そこに口出しされているような内容です」
「しかもトランプ氏は、ヨーロッパには多くのアメリカ軍が駐留していると念押しもしたといいます。これは、ロシアに対するある種の脅しとも取れる内容ですよね」
「ウクライナ戦争をいつどんなふうに収めていくのか、トランプ氏がやんわりと脅しまでかけて注文を付けたという内容なので、これが事実なら、内政干渉をとにかく嫌うプーチン氏にとっては面白くない内容ですよね」
瀧口麻衣アナウンサー
「だから電話会談をなかったことにしたのでしょうか?」
近野解説委員
「そういう可能性がありますね。ロシア国内のことを考えても、自分の国の大統領がアメリカに意見されたのが事実だとすれば、お国柄からいっても、そのまま国民に伝えるわけにはいかない内容です」
「そして、ワシントンポストの報道をその通りだと認めるわけにはいかない理由としては、ウクライナとの前線で戦っている兵士の士気が下がる可能性もあります」
「今回否定したペスコフ報道官は、外国メディアの報道について事実関係を聞かれるたびにすぐ否定してしまう人らしいですが、このように振り返ると、それだけではない背景もありそうだなという気がします」
■トランプ氏と親交深めるため…韓国では
森圭介アナウンサー
「今回はロシアの話でしたが、他の国でもトランプ氏との関係(づくり)を模索しているんですか?」
近野解説委員
「当然(トランプ氏は)個性の強い方なので、始まっています。韓国のメディアは11日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領について『8年ぶりにゴルフクラブを握った』と報じました」
森アナウンサー
「トランプ氏がゴルフが好きだからですね」
近野解説委員
「ゴルフ好きのトランプ氏と親交を深めるために、周囲から『ゴルフ外交を準備すべきだ』との助言を受けて、練習を8年ぶりに始めたそうです」
■ゴルフで距離を縮めた安倍元首相
近野解説委員
「トランプ氏とのゴルフ外交といえば、思い出されるのは安倍元首相です。2019年、当時の安倍首相もトランプ氏とゴルフを通じて距離を縮め、『シンゾーはスペシャルだ』と言われる関係になっていきました」
「トランプ氏はそれより前の2017年、ゴルフについて『ランチよりゴルフをする方が、相手のことを知ることができる』とも話しています。斎藤さんもゴルフをされます、どうですか?」
斎藤キャスター
「ランチだと長くても2時間くらいですが、ゴルフは5~6時間ずっと一緒にいます。しかも、気を遣える人とそうでない人に分かれます。遠くの変な所に(ボールが)行った時に、『なんだよ!』と言う人と、最後までちゃんと気を遣える人とに分かれる印象があります」
■石破首相は「自分ならではの外交を」
近野解説委員
「石破首相はどうでしょうか。周辺から『ゴルフをやった方がいい』と伝えられたことがあったようです」
斎藤キャスター
「石破首相はゴルフはやらないんですか?」
近野解説委員
「やらないようですが、高校時代はゴルフ部でした。同級生によると、腕前は『真ん中』。ただ今は、『安倍元首相と同じやり方ではなく、自分ならではの外交を模索したい』とゴルフ外交にはあまり積極的ではない様子だそうです」
鈴江アナウンサー
「安倍元首相と同じやり方ではなくとも、トップ同士の外交はとても重要な意味を持ちますよね。一方で“トランプシフト”という形で各国が動き出しているので、日本の政治は今不安定な中ですが、しっかりそこに合わせていかないといけませんよね」
近野解説委員
「これから動きがますます活発になっていくと思います。トランプ政権の閣僚などの顔ぶれがこの後どんどん固まっていきます。そうなると、徐々に政策の方向性も見えてきます」
「その時にトランプ氏がどの国の誰とどんな会話をしたのか、その意味をしっかりと読み解いていく必要が出てきそうです」
(2024年11月12日放送「news every.」より)
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